相棒の傍で

静かな砂浜の端、
木造の廃屋をみつけた。

最早人の活気が失われたその廃屋のデッキで、
長い間使われていなかっただろうコンロに火を灯す。

僕はその火を見つめながら、
相棒の滑らかで硬い身体により掛かる。

見上げれば満点の星空。
かつての光を失ったこの場所では、星空がひどく綺麗に見えた。

僕はふと思う。
もし僕がここに一人だけでいたのなら、どうなっていたのだろうかと。

不安と、孤独感で、きっと発狂していたに違いない。

一晩中泣き叫び、誰かを探し続け走り回り、でもついにその”誰か”を見つけることはないだろう。

いまこうして、僕のとなりにいる存在があるからこそ、僕はこうして穏やかな気分でいられる。

この星空を綺麗だと感じ、安心感と微かな楽しさを、感じることができている。

ふと考える。

僕は明日も、いつものように相棒のそばで目をさますことができるだろうか?

もし明日目をさまして、相棒が居なくなっていたらどうしよう。

もし目を覚ました時、この場所ではなく、昔のように白い壁に囲まれたベッドの上で目を覚ましたら。

僕は目の前にある鱗の境目を、そっと指で撫でる。

物憂げな僕の様子に気づいたのか、相棒は翼でそっと僕を覆ってくれた。

…きっと、大丈夫だ。

明日もきっと、この大好きな相棒のそばで目をさますことだろう。

そして、どこまでも続くこの世界の空を、一緒にどこまでも旅をするのだ。

さて、

明日は何処へいこうか


N次元向こうの物語 – Pixiv